カネはどこから来ているの?

 
 

Jリーグ加盟チーム(正式にはJリーグ正会員と呼びます)になるにはいくつか条件がありますが、そのひとつに「運営組織を独立した法人とすること」があります。たとえ三菱自動車や日産自動車が親会社についていようとも、運営会社は別にあり、親会社はそこに出資することで間接的に経営に関わっているのです。
他にも「1万5千人以上を収容できるホームスタジアムを確保すること」「ユースチーム、ジュニアチームなどの選手育成組織を持つこと」などが要求されます。こうした条件をクリアしてチームを組織するのは一朝一夕ではできないことで、ほとんどのJリーグチームはJリーグ発足以前から企業の体育部として活動していた、母体となるチームがあります。

Jリーグ各チームの最大の収入源は何だと思います? 入場料? 各試合の放送権料? 違います。
いちばん大きいのは、実は広告収入なのです。企業名や商品名をユニフォームやスタジアムの看板、試合中にフィールド横に置く三角形のボードなどに入れる、さらに試合中継の番組中にCMを流す、そうしたことで主に収入を得ているのです。Jリーグでは広告収入はチーム全収入の約5割、入場料収入が約2割となっています(放送権料はチームの直接収入ではなく、すべて一旦リーグ側に入り、その後各チームに分配されます)。

つまりチーム運営のカギを握るのは、外面上は広告料、内実は母体チームを組織していた親会社からの資金、ということになります。

選手の年俸を払うのは、もちろんチームを運営している会社ですね。だったら、選手の年俸を上げる方法を探るには、チーム事情を知るのがいちばん。
母体チーム、主な出資者(企業でないこともあります)、スポンサーを見ていきましょう。
出資者→運営会社に資金を出し株主となっている団体または個人のことで、チーム運営に関する発言権を持つ。
 スポンサー→スタジアムや試合中継番組で広告活動を行い、広告料を支払う。運営に関する発言権はない。
 

●一応の予備知識

JSL(日本サッカーリーグ):Jリーグ発足以前の日本最高峰リーグ。65年創設で、72年には2部制となる。プロ契約選手もいることはいたが、基本的にはアマチュアの集団。Jリーグ結成に伴い、92年よりJFLに移行。

JFL(日本フットボールリーグ):92年にJSLに代わり創設されたリーグでJリーグの下に位置し、ノンプロの最高峰。98年までは2部制だったが、99年のJ2発足に伴い1部制に。
Jリーグに入るにはまずこのJFLに入り、年間2位以上かそれに近い成績をあげることが必須。だがJリーグをめざすチームばかりでなく、どちらかといえばアマチュアとして参加しているチームのほうが多い。
企業チームもあれば、教員などによる同好会に近いチーム、大学サッカー部もメンバーに加わっている。現在J1とJ2の間で行われているような入れ替えも、将来J2との間で行われる予定。

地域リーグ:JFLのさらに下に位置するリーグ。その名のとおり全国を北海道、東北、関東、東海、北信越、関西、中国、四国、九州の9地域に分けて行われている。また参加チームの多い東北、関東、東海、北信越、関西は2部制になっている。
JFLへの昇格(またはJFLからの降格)の条件は年によって違うが、現在は各1部リーグの優勝チーム(地域によっては準優勝チームも)による「全国地域リーグ決勝大会」を行い、その上位2チームがJFL下位2チームと入れ替え戦を行う(05年は入れ替え戦がなく上位2チームが自動昇格)。
また将来Jリーグをめざすチームには「Jリーグ加盟を標榜するクラブに対する優遇措置」が適用され、地域リーグでの成績に関わらず決勝大会に出場できる。ザスパ草津は03年には関東リーグ2部だったがこの措置により決勝大会に出場、優勝してJFL昇格を決めた。

都道府県リーグ:地域リーグのさらに下。もちろん1都道府県に1リーグだけではなく通常は3部リーグ程度まではあり、都道府県によってはさらに県西部・東部など地区別の編成になっていることもある。
新しくチームを作った場合は、もちろんこの都道府県の最下部リーグからスタートする。ただし「Jリーグ加盟を標榜するクラブに対する優遇措置」は、チーム力が群を抜いて強力だと認められれば日本サッカー協会登録2年めから適用され、地域リーグ所属でなければならないとも規定されていないので、都道府県リーグから地域リーグを飛び越してJFLへ昇格する可能性もある。つまり都道府県or地域リーグ2年間+JFL1年間=チーム結成から最短4年めでJリーグ入りが可能

カップ戦:リーグ戦とは別に、主にトーナメント形式で行われる大会。Jリーグでは現在ヤマザキナビスコカップとして、J1とJ2の全チームが参加して開催されている(02年からJ1チームのみで開催)。JSLでもカップ戦が行われていた。

天皇杯:プロ・アマ関係なく、全国のサッカーチームがトーナメント形式で優勝をめざす大会で、21年から始まる国内最古の全国大会。現在ではJ1・J2の全チーム、数チームのJFL代表、大学サッカーチームの代表、18歳未満の代表、都道府県予選を勝ち抜いた47チーム、計80チームほどが本戦に出場できる。数年前に高校サッカー部の都道府県予選参加も認められ、国見高校サッカー部などが本戦への出場を果たしている。
これと、リーグ戦、カップ戦の3つに、一年ですべて優勝することを「3冠」と呼ぶ。
 
 
 

93年Jリーグ参加 10チーム(のち1チーム消滅
 

鹿島アントラーズ kashima Antlers

母体チーム&メイン出資:住友金属

母体となった住友金属サッカー部は47年に大阪で結成された住友金属蹴球同好会が大もとで、Jリーグ発足当時はJSL2部(1部の経験もあるが昇格と降格の繰り返し)。プロ化スタート時には2部からのJリーグ入りは他になく、ジーコの獲得、日本初のサッカー専用スタジアムの建設などと合わせサッカー界を驚かせた。本拠地の鹿島も当時は「町」だった(鹿島町は後に鹿嶋市に)。
鹿嶋市神栖町波崎町、潮来町(ここも現在は潮来市)の4市町と、住友グループや地元を中心にした企業、計45団体が出資する(株)鹿島アントラーズ・エフ・シーがチームを運営。出資企業のうち有名どころは東京電力花王武田薬品工業味の素など。
オフィシャルスポンサーはトステムイエローハットナイキジャパンサントリーなど11社、アドボードスポンサーは東京電力など34団体で、スポンサー総数は45。うち出資団体と重複しているのは、オフィシャルスポンサーでは常陽銀行と『昭和天ぷら粉』の昭和産業(柳沢が一時期CMに出てた)の2社だけ、アドボードスポンサーでも住友金属のグループ企業を中心にわずか9社。資本金も15億7,000万円と、非常に経営がうまくいってそうでとってもうらやましい。
96・98・00・01リーグ優勝(93前期・97前期・98後期・00後期・01後期優勝)、97・00天皇杯優勝、97・00・02ナビスコカップ優勝、00年には3冠達成の常勝チーム。
 

ジェフユナイテッド市原・千葉 Jef United Ichihara Chiba

母体チーム:古河電工 メイン出資:JR東日本古河電工

古河電工は65年のJSL創設メンバーのうち唯一2部リーグ落ちのなかったチームで、リーグ優勝も2回している。JSLカップでは3回、天皇杯も4回優勝の古豪。実業団で初めて天皇杯を制したのがこのチームだった。
JSL最後の年の91年にJR東日本との共同チーム、JR古河となりそのままJリーグへ。JR EastとFurukawaが合体(=United)したので、JEF United。つまり、今でも企業名をチーム名に残している唯一のチーム。それぞれ50%ずつ出資する(株)東日本ジェイアール古河サッカークラブが運営し、資本金は1億円。ホームタウンは市原市だったが05年から千葉市も加わり、チーム名にも“千葉”の文字がつく。
スポンサーには2種あり、メインの「オフィシャルパートナー」は出資企業2社と他にオートウェーブミズノ、パチンコ・パチスロのサミー、1000円の床屋「QBハウス」を全国展開するキュービーネットの計6社。「オフィシャルスポンサー」は君津住宅千葉銀行など10社でスポンサー総数は16社。
01年のリーグ前期2位/総合3位、03のリーグ後期2位/総合3位、98年ナビスコカップ準優勝が最高の成績。
 

浦和レッドダイヤモンズ Urawa Red Diamonds

母体チーム&メイン出資:三菱自動車工業

三菱重工の名でJSL創設に参加、3冠を初めて達成するなどの名門チーム。JSLリーグ戦で4回、JSLカップで2回、天皇杯でも4回優勝。
てなわけで、運営会社の(株)三菱自動車フットボールクラブも100%三菱自動車工業の出資で設立。レッドダイヤモンドとはもちろん三菱グループのマークを指す。96年には浦和市(現さいたま市)と埼玉県、00年にはエコ計画(廃棄物処理)、郷前(携帯電話販売など)、埼玉縣信用金庫、不動産のトーシン三国コカ・コーラボトリング、アサツーディ・ケイ(売上日本3位の広告代理店)、三菱グループ数社などが資本参加し、現在の株主は31団体。あの中井貴一とタヌキ&カッパのDCカードも、ダイヤモンド・クレジットの略で三菱グループなので出資企業に名前を連ねている。資本金は1億6,000万円で、うち8,100万円を三菱自動車が出資する。
スポンサーは三菱グループ数社、ボーダフォンナイキジャパン、トーシン、セガカブドットコム証券など42団体。カブドットコム証券のCMには坪井が出演している。出資企業との重複は三菱グループ5社を含む13社。
00年にはJ2に降格するが、1年でJ1復帰。03年にナビスコカップ優勝し、初のタイトル獲得。リーグ戦では04年の2位(後期優勝)が最高。
 

東京ヴェルディ Tokyo Verdy 1969

母体チーム:読売クラブ メイン出資:読売新聞日本テレビ

母体は69年創部の読売サッカークラブで、78年からJSL1部。JSL優勝5回はマツダと並び最多。JSL最後の年の優勝チームであり、Jリーグ発足当時いちばん強いチームはここだった。JSLカップ優勝3回、天皇杯優勝3回。
プロ化にあたり読売新聞日本テレビよみうりランドの3社が出資し、運営会社(株)読売日本サッカークラブを設立。チーム名も読売ヴェルディと名乗っていたが、リーグ側からの要請もあり企業名を外しヴェルディ川崎に。
しかし、99年には日本テレビの100%出資になり名称も(株)日本テレビフットボールクラブに変える、01年にはホームタウンを川崎市から東京都へ移すなど、数々の愚行を冒す。01年には清水建設、京王電鉄グループの広告代理店京王エージェンシー三和(何をしてる会社かは不明)、稲城市から出資を受ける。その後さらに多摩市日野市が出資するが、資本金はそれでも2,000万円、少なっっ。
スポンサーはIT企業で奥菜恵の元・夫が社長のサイバーエージェントナイキジャパン、コンピュータネットワークサポートのNECフィールディング、関東地域で進学塾「トーマス」を展開するリソー教育、商品・為替先物取引のハーベスト・フューチャーズを中心に26社。出資企業の日本テレビと清水建設ももちろん入っている。つーか、スポンサーが毎年よく変わるし、なんかよく知らない会社多いし。
偉いところが一点。ホームページに決算公告が載っていたこと。これを見ると、年間予算は約5億7千万円。そして年間利益は28万9千円。ま、これでも黒字だし。
93・94リーグ優勝(93後期・94後期・95後期優勝)、93・94ナビスコカップ優勝、96天皇杯優勝とJリーグ発足から数年は輝かしい成績を残していたが、01年にはJ2降格の危機に立つなどすっかり変貌。04年天皇杯優勝は復活の兆しか徒花か?
トップチームの正式呼称はF.C.ニッポンだって。何様?
 

横浜マリノス Yokohama F・Marinos

母体チーム&メイン出資:日産自動車

リーグ優勝2回、カップ戦優勝3回、天皇杯優勝5回、そして3冠を2年連続で達成した、JSL名門の日産自動車サッカー部が母体。ここもJリーグ当初は日産横浜マリノスと名乗っていた。プロ化にあたり設立された運営会社、日産フットボールクラブ(株)は日産自動車の100%出資。
その後98年、横浜フリューゲルスの消滅に伴い全日空の資本が加わったのは周知のとおり。99年には全日空スポーツ(株)と合併し現在の横浜マリノス(株)となり、02年にはついに全日空が資本を引き上げ再び日産自動車の100%出資となる。じゃあもう、チーム名にFなんてつけてる必要ないじゃん。全日空は現在、メインスポンサーのひとつ。05年には増資を行うがそれでも資本金は3,070万円、それでも株主数は計8社、依然として日産自動車が90%以上の株を保有する。
日産自動車と全日空を除くメインスポンサーは日産グループ4社、ゼネラルエレクトリックジャパン、ネットコンテンツ企画制作のMLJアディダスサントリー、so-netのソニーコミュニケーションネットワーク、「EDIFICE」などのアパレルブランドを扱うベイクルーズなど21社。それ以外にも日産グループ数社にTVKテレビ横浜信用金庫など地元神奈川の企業をはじめ、60のスポンサーが存在する。つまりスポンサー数は全部で81。出資企業8社すべてがスポンサーも兼ねる。
95・03・04リーグ優勝(03は前後期とも優勝)。01ナビスコカップ優勝。Jリーグ開幕前年の92は日産FC横浜マリノスの名で天皇杯優勝。なお、現在のホームタウンは横浜市だけでなく横須賀市も含む。
 

清水エスパルス Shimizu S-Pulse 

母体チーム:なし メイン出資:特になし鈴与グループ

Jリーグスタート時、鹿島アントラーズとともに驚きをもたらしたチーム。JSLの母体チームがなく、ゼロからの結成。各JSLチームに所属していた静岡県出身選手を集め、最初から市民チームとして歩み出す。静岡銀行テレビ静岡など地元企業数十社が出資する。 S-PULSEのSはサッカーとともに清水、静岡の頭文字で、とことん地域密着。
98年まで(株)エスラップ・コミュニケーションズがチーム運営。しかし経営危機に陥り、地元企業を中心に設立された新会社(株)エスパルスに経営権を資本金3億円で譲渡、運営にあたる。
主なスポンサー=オフィシャルクラブスポンサーは日本航空江崎グリコ、電子機器や精密部品を製造する静岡の有力企業スター精密、静岡県内を中心にゲームセンター「THE 3RD PLANET」を展開するザ・サードプラネット清水銀行鈴与。鈴与は清水市(清水市は合併で消滅したので現・静岡市)の物流会社で、情報、商事、食品、建設などさまざまな分野のグループ企業を持つ。てゆーか、鈴与のサイトを見ると(株)エスパルスまでグループ企業に入ってる! エスパルスのサイトには株主情報はないけど、これはもう鈴与が大株主と見て間違いないでしょ。ちなみにテレビ朝日系列『報道STATION』の枠で流れる♪見たこともないもの見てみた〜いな〜クジラのダンス北の国のオーロラありんこの涙い〜つかきっと〜見れるよね〜♪のCMがこのグループのCM。
オフィシャルクラブスポンサー6社、サインボードスポンサー(最前列16/第2列4/第3列13/広告シート9)、サポートメンバー(ゴールド13/シルバー15)、オフィシャルパートナーオレンジメンバー70とスポンサーランクが細かく分けられているのもこのチームの特徴。重複もあるのでスポンサーの総数は131、うち鈴与グループの企業が確認できただけで18。
01天皇杯優勝、96ナビスコカップ優勝、リーグでは99後期優勝が最高(勝ち点では99年間1位)。また98年にはフェアプレー特別賞を受賞。
 

名古屋グランパスエイト Nagoya Grampus Eight

母体チーム&メイン出資:トヨタ自動車

母体チームはJSL1部で、72年に発足したJSL2部の創設メンバー。JSL時代には特筆すべき成績は残していない。
運営会社の(株)名古屋グランパスエイトは、トヨタとその関連会社、中日新聞社、東海銀行(現UFJ銀行)、食器のノリタケなど地元の主要企業20社により設立。資本金は4億円。サッカーでなぜエイト?と言われても、名古屋市の市章が“八”をデザインしてるし末広がりだし、と当時の名古屋市長が名づけたんだし。
主なスポンサー=オフィシャルスポンサーはUCC上島珈琲(関西の企業なのになぜ?地元のポッカじゃなくて?)、デサント、ラベルシールなどのメーカーヒサゴトヨタファイナンス。その他に30のクラブスポンサーがありスポンサー総数は34だが、やはり関西ペイントなんてところが名を連ねていたり、ヴェルディの株主になってる清水建設の名前があったりするのが謎。トヨタ関連の企業が多いが、出資企業とスポンサーを兼ねている会社がひとつもないのは立派。
95・99天皇杯優勝、リーグでは96の2位が最高(95後期・99後期も2位)。
 

ガンバ大阪 Gamba Osaka 

母体チーム&メイン出資:松下電器

創部は80年、JSL1部昇格が86年と比較的新しいチームで、それほど強くもなく1部リーグと2部を頻繁に行き来していた。大きな実績といえば天皇杯に1回優勝したくらい。Jリーグ初年度から参加できたのも親会社の資金力のおかげだろうな。
プロ化当時の運営会社(株)松下サッカークラブは、もちろん松下電器100%出資。96年に会社名が(株)ガンバ大阪になって、ようやくチームの正式名称からパナソニックの文字が消えた。それにしてもこのチームだけ、調べても調べても資本金額がわからない
公式サイトによるとマネージメントパートナーは松下電器、大阪ガス関西電力JR西日本。オフィシャルスポンサーが37+松下グループ各社で、うちユニフォームスポンサーが松下電器、ロート製薬、炭火焼肉の店「でん」などを展開するゼンショク、ギフト用品や生活雑貨を「サラダ館」などの店舗とカタログで販売するシャディ。その他にも支援会法人会員が300社あるそーな。オフィシャルスポンサーの中にはマネージメントパートナー4社の名前が全部あるので、この4社が出資企業ってことになるんだろか。
02年と04年のリーグ総合3位が最高(97後期・02後期2位)。なおホームタウンは大阪市でも大阪府全域でもなく、大阪府吹田市。
 

サンフレッチェ広島 Sanfrecce Hiroshima 

母体チーム&メイン出資:マツダ

38年創設、東洋工業の名でJSL創設に参加し、リーグ初年度の全勝優勝から4年連続優勝したマツダが母体。リーグ優勝5回、天皇杯優勝3回。
運営会社の(株)サンフレッチェ広島はJリーグ加盟時、マツダの他にデオデオ(家電・音楽ソフト・書籍などの販売)、中国電力広島銀行広島県広島市など47団体の出資により設立。99年に増資し出資団体が59に、資本金が12億1,000万円に増える。
ユニフォームスポンサーはデオデオ、マツダ、カード会社のライフ、中国電力、カルビー、広島銀行、ミズノ、電力設備工事の中電工、不動産のアーバンコーポレイション。看板広告スポンサーは32社で、スポンサー総数は41社。94前期優勝時のユニフォーム背中部分のスポンサー「JUKEN」こと住建産業(現ウッドワン)は、スポンサーは降りたが出資企業のひとつ。出資企業とスポンサーの重複は17。
タイトル獲得はないが、94前期にリーグ優勝している。03にはJ2に降格するが、1年で復帰。また93・94とフェアプレー特別賞を受賞していたクリーンなチーム。
 
 

94年Jリーグ参加 2チーム
 

湘南ベルマーレ Shonan Bellmare

母体チーム:フジタ メイン出資:フジタ財団法人平塚市開発公社平塚市

大もとは68年結成、72年からJSLに参加している藤和不動産。75年には親会社のゼネコン、フジタ工業のチームとなり、JSL1部での優勝3回、天皇杯でも2回優勝している。だがプロ化した後、建設不況の例に漏れず、経営難で運営から手を引く。
そのゴタゴタはチーム運営にも反映され、運営会社は93〜96年6月(株)ベルマーレ平塚、96年7月〜99年11月(株)湘南ベルマーレ平塚、99年12月から現在の(株)湘南ベルマーレとなる。
単なる名称変更ではなく、運営主体そのものが変わっている。(財)平塚市開発公社と平塚市が中心となって約40団体の出資により、新しい運営会社が作り直されている。現在の出資は63法人に個人261の計324名。
ホームタウンも神奈川県平塚市1市だけから周辺の厚木市などを含めた7市3町となり、チーム名もベルマーレ平塚から湘南ベルマーレとなる。それにしちゃ資本金は3億6,980万円とけっこうあるんだけど。
メインスポンサー=オフィシャル・クラブスポンサーはリズメディアなどのエイベックスグループ、冠婚葬祭や介護などの事業を行うサン・ライフ平塚信用金庫、かつて所属していた中田英寿選手など44の企業・団体・個人。
94天皇杯優勝、リーグでは94後期の2位が最高だったが、(株)湘南ベルマーレになった00年シーズンからはずっとJ2。
 

ジュビロ磐田 Jubilo Iwata 

母体チーム&メイン出資:ヤマハ発動機

72年創部、JSL1部チームでリーグ優勝1回、天皇杯優勝も1回。当然Jリーグにもスタートと同時に参加すると見られていたが、親会社のヤマハ発動機の準備が遅れ、リーグ側から選外の宣告をされる。サポーターは11万人の署名を集めリーグ側に提出、92年にリーグ準会員として加盟を許され、94年からJリーグへ。
チームを運営する(株)ヤマハフットボールクラブは、他に静岡新聞静岡放送(SBS)をはじめテレビ静岡を除く県内民放3局などが出資して設立。このため静岡県内では主に、ジュビロの試合はSBS、エスパルスの試合はテレビ静岡で放送される。※一応SBSはエスパルスのスポンサーにもなってはいる。現在はヤマハ(楽器)や遠州鉄道などほとんど地元企業ばかり計45社と磐田市が出資していて、資本金も6億7,900万円とかなり裕福。すげぇな、有限どころか個人商店の合資会社まで出資してるよ。・・・あれ? グリーンスポーツって小中学校で同級生だった山田くん家(スポーツ用品店)?
主なスポンサー=オフィシャルスポンサーはネスレジャパングループ大日本除虫菊(金鳥)、ヤマハ発動機、フォルクスワーゲングループジャパン、静岡新聞、SBS。その他、ゴールドメンバー16、シルバーメンバー20、アドボードスポンサー102で、重複を除くスポンサー総数は138。出資者との重複は18。エスパルスの株主の鈴与もスポンサーになっている。
97・99・02リーグ優勝(97後期・98前期・99前期・01前期・02前後期優勝)、98ナビスコカップ優勝と、97年以降は必ず優勝争いするチームに成長する。03には天皇杯も獲得。
 
 

95年Jリーグ参加 2チーム
 

柏レイソル Kashiwa Reysol 

母体チーム&メイン出資:日立製作所

40年創部、65年のJSL創設にも参加(当時のチーム名は日立本社)。リーグ優勝1回、カップ戦優勝1回、天皇杯優勝は2回。
92年に設立された運営会社(株)日立スポーツは、日立製作所の100%出資。2000年には(株)日立柏レイソルに改称され、日立グループ606社の他、柏市も出資する。資本金は2,200万円。あれ? 少ないな。
メインスポンサー=ユニフォームスポンサーは日立製作所、日立マクセル、アヒルのCMで有名なAflacことアメリカンファミリー生命。その他、小型モータなど電子精密機器を製造する日立グループの日本サーボなど、日立グループを中心にスポンサー総数は57。
99ナビスコカップ優勝、リーグでは00年の3位(同年後期2位)が最高だが、同年の勝ち点では年間1位。なおホームタウンは千葉県柏市だが、周辺の野田市、我孫子市、流山市、松戸市、印西市、白井市、鎌ヶ谷市を含めた8市をホームタウンエリアとしているそーな。
 

セレッソ大阪 Cerezo Osaka

母体チーム:ヤンマー メイン出資:日本ハムヤンマー

57年創部でJSL創設メンバーでもあり、下位リーグ落ちも1度しかない名門チーム。リーグ優勝4回、カップ戦優勝2回、天皇杯優勝3回。あの釜本が所属していたのもここ。
運営会社の大阪サッカークラブ(株)には日本ハムとヤンマー、大阪市を中心に、大阪の16社1団体が出資。うち放送局が8社、他も電力や銀行、保険などすべて大企業といえるとこばかり。資本金も3億1,500万円とまぁまぁ。
スポンサーはタマノイ酢、スキー用品のアルペンが別展開するスポーツ用品の総合店舗SPORTS DEPOを中心に、大阪工業技術専門学校大阪市信用金庫を中心に26団体、出資者との重複はゼロ。出資企業と比べるとショボく思うが、02年にJ2降格してもスポンサー降りなかったところが多く立派。
00前期リーグ2位が、今のところ最高。最終戦で優勝逃したときの森島が印象的だったねぇ。なおガンバと違い、こっちは実際に大阪市がホームタウン。
 
 

96年Jリーグ参加 2チーム
 

京都パープルサンガ Kyoto Purple Sanga

母体チーム:京都紫光クラブ メイン出資:京セラ

22年に現在の京都教育大学OBチームとして紫郊クラブが結成。54年に紫光クラブに改称してからも、企業と直接関係のない教員中心のチームとして活動する。72年のJSL2部の設立初年度から参加するが、1部への昇格はなし。
93年には教育研究社の出資により教育研究社FC京都パープルサンガと名称変更。その後発足した「京都にJリーグを市民の会」の活動により、翌年には京セラを中心とした地元企業の出資による運営会社(株)京セラパープルサンガが誕生、数カ月後には(株)京都パープルサンガに名称変更する。なお教育研究社は93年、当時の練習生を中心に別チームを組織。京都リーグ4部から出発し、00年にはFC KYOKENとしてJFLに昇格、現在はFC京都BAMB1993の名称で関西1部リーグで活動中。また京都紫光クラブそのものもアマチュアチームの形で存続し、現存する日本最古のクラブチームとして関西2部リーグに所属する。
当初の出資者は京セラ、任天堂など京都と縁の深い27企業に市民持株会で、後に京都府と京都市も加わる。現在は京都府としての出資はなくなったが京都府知事が個人出資していて、現在の出資は30団体+1個人。資本金は36億0,500万円!! ええっ、リーグトップだよ! 稲森和夫名誉会長をはじめ関係者を6人もチーム役員に送り込んでる京セラの意地か? 役員には他に茶道の千宗室裏千家家元の名前もあったりするし、事業内容に旅行業と損害保険業を盛り込んでるところも謎。
メインスポンサー=ユニフォーム広告スポンサーは京セラ、任天堂、ワコール、大和証券と同グループ企業で投資銀行業務の大和証券SMBC。トレーニングウエアスポンサーがコピー機の京セラミタ、ゲームのタイトー、モーターなどを製造する日本電産。さらに看板広告スポンサーとして69団体、広告協賛スポンサーとして25団体、応援メッセージボード協賛スポンサーとして16社。重複を除くとスポンサー総数は108団体。うち出資者との重複は20社。京セラのサイトによるとスポンサーのうち12社が京セラの関連会社で、他にも元グループ会社だったDDIポケット改めウィルコムなどもある。ありゃ、サンガまで関連会社に入ってる。
01年にはJ2に降格したが優勝して翌年にはJ1に復帰、リーグ優勝争いに加わり(最終的には年間5位)天皇杯を制するという快挙を達成。・・・ところが04にはまたJ2に。
 

アビスパ福岡 Avispa Fukuoka 

母体チーム:中央防犯 メイン出資:特になし

静岡県にあった中央防犯サッカークラブが母体。創部が82年と若いためJSLの経験は1年間だけ。JFL時代の94年に藤枝ブルックスと改称するが、静岡県内にJリーグ3チームは多すぎるということで、福岡県民からの50万の署名により本拠地を移し、95年福岡ブルックスとなる。その後Jリーグ入りするにあたり、アパレル業者のブルックスブラザースが使用権を持つ“ブルックス”の名を使えなくなりアビスパ福岡へチーム名を変更する(運営会社名は(株)福岡ブルックスのまま)。この段階で親会社だった中央防犯はチーム経営の中心から離れ、単なる出資企業のひとつとなる。中央防犯チームは現在も、中央防犯藤枝サッカークラブとして静岡県藤枝市を拠点に東海1部リーグで活躍中。
このような経緯をたどったため、出資団体は福岡県福岡市、地元九州の企業、本社は異なるが九州に有力拠点を持つ企業、それに静岡の企業と、非常に複雑になっている。たとえば地元企業なら「ポケットバンク」の三洋信販テレビ西日本、全国企業ならコカ・コーラウエストジャパン読売新聞西部本社、静岡との関係なら静岡新聞スルガ銀行といった具合に。(株)福岡ブルックス設立時には45団体が出資。その後増資し、現在は90団体が出資する。資本金は99年の報道で33億7,000万円
メインスポンサー=ユニフォームスポンサーはコカ・コーラウエストジャパンに三洋信販、九州電力、さらにケーブルテレビとブロードバンドのJ:COMグループのうち福岡・下関エリア担当の4社(福岡ケーブルネットワークケーブルビジョン21ジェイコム北九州ケーブルネット下関)。この他オフィシャルスポンサーが27、印刷物スポンサーが13、スポンサー総数は47団体。スポンサーには静岡の企業の名前はないが出資企業との重複が多く、福岡市さえ株主とスポンサーを兼ねている。
00年後期のJ1リーグ6位が最高だが、02年からJ2。
 
 

97年Jリーグ参加 1チーム
 

ヴィッセル神戸 Vissel Kobe

母体チーム:川崎製鉄 メイン出資:伊藤ハムノーリツクリムゾングループ

岡山県倉敷市にあった66年創設のJSLチーム、川鉄サッカー部を「神戸にプロサッカーチームをつくる市民の会」の活動により95年誘致&改称。運営会社は当初メインの出資企業だったダイエーのコーポレイトカラーから(株)神戸オレンジサッカークラブと称していたが、ダイエーの撤退に伴い(株)ヴィッセル神戸に改称。
しかし(株)ヴィッセル神戸は債務超過に陥り、03年12月に民事再生法の適用を申請。翌年1月にはネットショッピングの楽天などを運営するクリムゾングループに営業譲渡、同年2月から(株)クリムゾンフットボールクラブによる運営となり、05年にはチームカラーまで白黒からクリムゾンレッド(エンジ色)に変更する。つーことは、出資はクリムゾングループ100%? 神戸市の出資はどうなった? ヴィッセル神戸持株会は? チーム公式サイトに情報ないからわかんねーや。資本金は9,800万円
スポンサーはまず楽天川崎重工伊藤ハム、セレッソのスポンサーでもあるSPORTS DEPOの4つがユニホームスポンサーで、サンガのスポンサーでもある大和証券SMBCがウォームアップウェアスポンサー(つまり練習着にロゴが入ってるってことね)。さらに給湯器メーカーのノーリツローソン、神戸市内に5つのショッピングセンターを持つ神戸ニュータウン開発センターJAバンク兵庫などオフィシャルスポンサーが58で、スポンサー総数は63。ところで2つの大学がなってる「オフィシャルパートナー」って何よ? わざわざ別枠になってるけど。組織と個人のモチベーションを上げるとかいう会社リンクアンドモチベーションがなってる「モチベーションマネージメントパートナー」以上にわかりづらいぞ。とりあえずスポンサーサイトのリンク切れは何とかしよーや。IT企業がメイン株主でそれはちょっとなぁ。
99後期・00前期のリーグ7位が最高で、J2降格争いに毎年加わる。だが97年、リーグで今まで一度しか出ていないフェアプレイ賞を獲得しているのは立派。にしてもオレンジ→白黒→エンジ色と、チームカラーが2回も変わったわけか。
 
 

98年Jリーグ参加 1チーム
 

コンサドーレ札幌 Consadore Sapporo

母体チーム:東芝 メイン出資:コンサドーレ札幌サポーターズ持株会

35年創設、79年に東芝堀川町の名でJSL2部に初参入した東芝が母体。JSL1部で最高4位、カップ戦で1回優勝。市民の署名活動により、96年札幌に移転&改称する。
運営会社は(株)北海道フットボールクラブ。「白い恋人」の石屋製菓やデパートの丸井今井など北海道の企業約80社の他、札幌市も出資しているが、最大の株主は市民持株会。約5億5,000万円、資本金の2割以上を出資している。資本金は25億5,625万円! えらいなぁ、北海道市民。
主なスポンサー=オフィシャルパートナーは石屋製菓、サッポロビール日本航空JR北海道アディダスジャパンフロントの不祥事で進学塾の札幌セミナーがオフィシャルパートナーを降りてしまったが…。それ以外にチームスポンサーが札幌市交通局北海道新聞社をはじめ北海道の企業を中心に商店街や幼稚園まで62団体で、スポンサー総数は67。この他に中学生以下をホームゲームに無料招待する「夢プラン」のスポンサーがあり、サッポロビール、日本航空など7団体が協賛している。東芝はスポンサーになってないどころか、出資さえしていないらしい。
このチームの偉いところは、ホームページに細かい収支報告を載せている点。これによると04年1〜12月の営業収益は13億7,494万円、対する営業費用は12億3,464万円、純利益は3億5,680万円の黒字! しかし未返済の累積債務が26億5,404万円も残っている。
98年Jリーグに昇格したが、99年にはその年発足したJ2に降格。01年には最昇格、そして03年には最降格(泣)。これまでのJ1最高順位は01前期の8位。
 
 

99年Jリーグ2部発足 新加入9チーム
 

FC東京 F.C.Tokyo

母体チーム&メイン出資:東京ガス

35年創部だがJSL1部の経験はなく、92年にようやくJFL参加。99年のJリーグ2部発足と同時にプロ化し、翌年にはJ1へ。
運営会社の(株)東京フットボールクラブには、三鷹市府中市調布市東京商工会議所など18の団体と、東京ガス、東京電力、日石三菱の頃から出資している新日本石油、ヴェルディの株主でもある清水建設三菱商事テレビ東京エーエム・ピーエム・ジャパン横河電機、富士銀行時代からの株主のみずほコーポレート銀行、ビデオレンタルチェーンTSUTAYAのカルチュア・コンビニエンス・クラブエフエム東京など290の企業が出資する。これだけの数の出資者がいながら、有限会社は20社ほどで株式会社ばっかだってのもすごい。資本金は7億8,300万円、おお裕福。なのに、なんであんなに選手の年俸安いの?
スポンサーは新日本石油、東京ガス、東京電力、三菱商事、清水建設、エーエム・ピーエム・ジャパンの6社をメインに計29。出資企業と重複していないのは給水・浄水設備の栗田工業、給湯機器のリンナイ、アヒルのAflacことアメリカンファミリー生命保険カワサキ森永製菓の5社だけ。カワサキは、公式サイトのロゴの形からするとカワサキモータースかな? リンクないからわかんねー。つーか、スポンサーへのリンクが東京ガスだけだし、スポンサー紹介のページがロゴ集めただけだし。
03のJ1リーグ4位が最高で、毎年ほぼ中位の成績を残している。04ナビスコカップ優勝。
 

川崎フロンターレ Kawasaki Frontale 

母体チーム&メイン出資:富士通

55年結成、72年のJSL2部の創設メンバーで77年には1部昇格だから、歴史は古い。97年にプロ化し現在のチーム名に。
設立当時の運営会社の富士通川崎スポーツ・マネジメント(株)富士通100%出資。現在は(株)川崎フロンターレに改称され、出資団体も富士通グループのコンピュータシステム会社PFU、自動販売機など産業用機器メーカーで元々の富士通の親会社だった富士電機(富士電機の通信部門が分かれてできたから“富士通”ね)の持株会社富士電機ホールディングス川崎市味の素などが加わる。全部で35社だそうだが、ホームページのリストではどう数えても、川崎市や川崎フロンターレ持株会を入れても33しかない。名前を出してないのはどこだろう? 資本金は3億4,352万5千円
メインスポンサーはユニフォームスポンサーの富士通、日興コーディアル証券、神奈川の不動産会社ノエル、PFUに、アップシャツ(練習着?)スポンサーのローソン。さらにアドボードスポンサーが64でオフィシャルスポンサーは計69、ほかに協賛カンパニーと呼ばれる会社が14でスポンサー総数は83。オフィシャルスポンサーのうち富士通グループの会社は25社と多いが、出資者との重複は8社と少なめ。
99年J2に加入した翌年にはJ1に昇格するが、その翌年にはまたJ2へ。しかし04年にはJ2史上最多の勝点と得点をあげ、05年に堂々J1復帰。00年ナビスコカップ準優勝。
 

ベガルタ仙台 Vegalta Sendai 

母体チーム:東北電力 メイン出資:宮城県仙台市

東北電力サッカー部が88年より本格的な強化を始めたことに端を発する。89年より宮城県リーグ、91年より東北リーグと着実に力をつける。また93年に開幕したJリーグに刺激された市民有志や地元経済界により仙台へのJリーグチーム設立への気運が高まる。そして94年、運営会社(株)東北ハンドレッドが設立され東北電力がチーム名ブランメル仙台となり、95年よりJFL入りしJリーグ参入をめざすことになる。しかしJ2発足に伴う法人登録の際、“ブランメル”の名称の企業が既に存在していたので、〈仙台といえば七夕祭り→七夕といえば織姫と彦星→英語で「ベガ」と「アルタイル」→2つ合わせてベガルタ〉となった。
(株)東北ハンドレッド設立当時の資本金は3億円、その後増資を繰り返し現在の資本金は23億2,850万円! おお、すげぇぞ。ここも公式サイトで決算報告をしていて、Jリーグに加入した99年度から6年連続で単年度黒字を達成。ただし累積債務はまだ17億4,500万円もある。出資者はケーブルテレビの仙台CATV、住宅メーカーの東日本ハウス東北電力など地元企業に仙台商工会議所宮城県仙台市も加え全部で120。宮城県と仙台市で全株式の48.5%を保有する。
メインスポンサー=ユニフォームスポンサーは収納家具からペットフードまで企画・製造・販売するアイリスオーヤマ、印刷・出版・IT・ゴルフ・葬儀場経営までする廣済堂グループ、地元有力地銀の七十七銀行、東北一帯に進学塾を展開するプラザ予備校グループ。クラブオフィシャルスポンサーは東北電力に地方紙の河北新報社に仙台CATV。さらに05年シーズン途中にヴィッセル筆頭株主っつーか100%出資者かもしれない楽天が、仙台を本拠地にするプロ野球の東北楽天ゴールデンイーグルスとの関係でセンターサークルスポンサーになる(試合中にセンターサークルに楽天の頭文字“R”を書いた円いシートをかぶせるそーな)。この他に148のクラブスポンサーがあり、スポンサー総数は155、出資者との重複は38。出資者には放送局など岩手の企業も多いがスポンサーにはほとんどない点も、東北全体でのJリーグ参入争いの経緯が反映されていて面白い。
02年にJ1初昇格したが、04から再びJ2に。そのせいではないらしいが、『カニトップ』などの商品を扱う健康食品会社、ジャパンヘルスサミットがスポンサーから降りたのは寂しい限り。
 

大分トリニータ Oita Trinita

母体チーム:なし メイン出資:九州乳業ペイントハウス
イチからJリーグ入りをめざし94年結成、大分県リーグから出発。当時の名称は大分トリニティ。95年九州リーグ昇格&優勝、96年にはJFL昇格、99年にJ2参入。同時に商標登録の関係から、現在のチーム名に変更。3年連続、J2最終戦で昇格を逃してきたが、03年からいよいよJ1に。
現在の運営会社(株)大分フットボールクラブは、九州乳業他5社の出資により99年に設立。J2参加と同時にはじめて運営会社を造ったらしい。現在の出資者は、大分県や02年W杯カメルーン代表のキャンプ地中津江村など4自治体に、住宅リフォームのペイントハウス、南九州コカ・コーラボトリングなど地元を中心とした23社と大分企業支援ファンド投資事業有限組合の1団体、大分県サッカー協会会長など個人出資も4人。市民+行政+企業の三位一体=TrinityにO-itaでTrinitaって名前のとおりには一応なってるが、大分市は05年になってようやく出資。大分市長がチーム役員にはなってるが。チームの会長は九州乳業社長(大分県サッカー協会会長も兼務)、名誉会長はペイントハウス元社長がそれぞれ務める。資本金は3億8,100万円。あれ?昔は20億くらいなかったっけ?
メインスポンサー=ユニフォームスポンサーはパチンコ店チェーンのマルハン、ファミレス&ファーストフードのジョイフル、南九州コカ・コーラボトリング、アパレルのソフ(有限会社!)。オフィシャルパートナーがサッカーやエンターテイメントに関するマーケティング・商品開発を行う会社であの小室哲哉が取締役のトライバルキックス(社名は小室の奥さんであるglobeのKEIKOが、略称TKになるようにつけた)、オフィシャルショップのクラブトリニータ、ホームスタジアムのビッグアイを管理する大分スポパーク21(財団法人!)、大分県スポーツ交流推進協議会。アドボードスポンサーが60、クラブオフィシャルスポンサーが94、クラブスポンサーが304、スポンサー総数は466。出資者との重複は16。つーか、上位スポンサーがほぼ身内じゃないの。スポンサー紹介もちゃんとリンク張ろーや。
04年収入は13億4,461万円、純損益では4億1,606万円の赤字。トライバルキックスも04年はユニフォームスポンサーだったが1年で降りてしまった。ペイントハウスが現在ジャスダックの監理ポストに入っていて上場廃止が懸念されているのも不安。
 

アルビレックス新潟 Albirex Niigata 

母体チーム:新潟イレブン メイン出資:特になし

創部は55年、最高で北信越の地域リーグ止まりだが、天皇杯本大会への出場歴もあり。96年、日本初の地域リーグからのプロ参加をめざして運営会社(株)アルビレオ新潟を設立し、アルビレオ新潟FCとして活動を開始。97年には商標権の問題からチーム名をアルビレックス新潟、会社名を(株)アルビレックス新潟と変更する。8年にようやくJFLに昇格し、1年だけのノンプロ全国リーグを経験した後J2へ。そして04にはいよいよJ1。
96年の設立当時の出資団体は県内148、県外3社。その後増資を繰り返し、出資団体は現在171。資本金は7億1,275万円。おお、金持ち。
メインスポンサー=ユニフォームスポンサーは亀田製菓マイクロソフトJA全農にいがた、地方紙の新潟日報。トレーニングウエアスポンサーがサッポロビール、新潟県内で駅ビル「CoCoLo」などを展開するトッキー、新潟県内を中心に飲食チェーンを展開する三宝グループ。またオフィシャルクラブスポンサーは2種類に分かれ、より広告料が高いと思われるオフィシャルクラブスポンサーSはNTTドコモ新潟支店ローソン、JAPANサッカーカレッジなど23の専門学校を経営するNSGグループ、主に新潟県と長野県で「蔦屋書店」「峰弥書店」「TSUTAYA」を展開するトップカルチャーの4法人で、Sがつかず一段下がるオフィシャルスポンサーは26。アドボードスポンサーは23、バナースポンサー(アドボードとの違いがわからないが)は14。その他よくわからないスポンサーもあって、地域支援スポンサーと銘打つのが新潟市内のイベント施設朱鷺メッセ、エコロジースポンサーがパソコン・AV機器などのリサイクルショップを展開しBOOK-OFFとも関係あるHARD-OFF、アシストスポンサーが5団体、スポンサーとつかないスタジアムアシストパートナーが3社、また報道関係はメディアパートナーとして区別し全部で13社。これらをすべてスポンサーとみなすと総数は96。
04年よりJ1に参加するが、このチームの特長は観客動員力。04年のホームゲーム年間合計観客数はJリーグ最多記録を更新、それまでの記録は95年グランパスが持っていたが当時のホームゲームは年26試合、それを15試合で超えてしまった。
 

大宮アルディージャ Omiya Ardija

母体チーム:NTT関東 メイン出資:NTTグループ

69年発足だから、歴史はあるチーム。88年からJSL2部に参加、1部の経験はないが、全国地域リーグ大会で優勝もしている。98年に現在のチーム名に。モンテディオもそうだけど、JSL時代にはこういう企業の一支社がチームを持ってたりしたのね。NTT関西ってチームもあったし、三菱自動車三菱浦和て名乗ってたこともあったし、現在のJFLには佐川急便のチームが2つあるし。
運営会社のエヌ・ティ・ティ・スポーツコミュニティ(株)は、日本電信電話(現NTT東日本)やNTT移動通信網(現NTTドコモ)などNTTグループ各社とその下請け会社計19社出資により98年設立。資本金は3億4千万円とそれほど多くないが、授権資本=株式を追加発行できる余力は13億6千万円といつでも資本増強できる。
メインスポンサー=ユニフォームスポンサーはNTT東日本、NTTドコモ、さいたま市に本社のある富士薬品(担架にもロゴを入れている)、同じくさいたま市が本社の建築・不動産会社アイダ設計。オフィシャルスポンサーはNTTグループ9社を含む17社。さらに協賛企業55社の中にもNTTグループの企業が17社もある。スポンサー総数76社のうちNTTグループは実に28社、そのうえネットワークシステムのNTTアドバンステクノロジ1社を除くすべての出資企業がスポンサーと重複している。運営会社の名前にもNTTなんてつけてるし、地元との密着がほとんど感じられない。
ほぼ毎年J2中位の成績を残していたが、05年にいよいよJ1昇格。
 

モンテディオ山形 Montedio Yamagata

母体チーム:NEC山形 メイン出資:特になし

84年に同好会チームとして結成され、JSL経験はないが90年には東北リーグ入り、95年にはJFLチームとなる。96年にチーム名を現在のものに変更。J2発足に伴い運営組織の株式会社化をめざしたが充分な額の出資金が集まらず、98年にJリーグ初、というよりプロスポーツチームを運営する組織としては日本初の社団法人、(社)山形県スポーツ振興21世紀協会での運営になる。同法人は他に女子駅伝部も持つ。
出資団体は“会員”という形で集めていて、現在正会員(年会費1口50万円)が『でん六豆』のでん六山形新聞社山形県など80団体112口、賛助会員(同1口5万円)が231口、後援会員(個人のみ)が大人(同1口1万円)4104口・ユース(同1口3千円)45口。スポンサーはJA全農山形(『はえぬき』)、平田牧場(食肉生産・販売)、でん六、NEC山形など。出資者もスポンサーも地元企業や団体、または本社が別地域にある企業の山形or東北支社&子会社が多い。スポンサー総数は不明だが、公式サイトトップに表示されているスポンサーの中でサプライヤーと見られるサントリーとプーマを除いた20団体のうち、正会員でないのはパールライス山形(株式会社なんだこれ)など4団体しかない。
ここのサイトも詳しい収支報告を載せていて、それを見る限り、1億円を超す補助金のおかげで毎年黒字経営、繰越金も1億円近い。J1は未経験だが、J2では01年3位、04年は入替戦まであと1つの4位と、惜しいとこまでいったことあり。
 

ヴァンフォーレ甲府 Ventforet Kofu 

母体チーム:甲府クラブ メイン出資:山日YBSグループ

65年創部、JSL2部の創設メンバーだが1部の経験はなし。95年から現在のチーム名となる。甲府と名乗ってはいるがホームタウンは甲府市だけでなく、韮崎市、甲斐市、南アルプス市、北杜市、笛吹市、中道町、玉穂町、昭和町、田富町、小淵沢町、芦川村、豊富村の山梨県内13市町村。さらに05年7月には山梨県全域に拡大した。
運営会社の(株)ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブは97年、山日YBSグループ(山梨日日新聞、山梨放送など山梨のマスコミグループ)を中心にした各企業に山梨県甲府市韮崎市など自治体を含む85団体、さらに個人252名の出資により設立。しかし入場料収入や広告料収入が伸び悩み00年収支では累積債務が4億3千万円にも達し、資本金を3億3,500万円まで増資、平均観客動員3千人以上、広告料収入5千万円程度などの条件をクリアできなければ01年限りでチームと運営会社を解散することを決めた。その後、努力の甲斐あって観客動員も収入も伸び現在も存続している。
メインスポンサー=ユニフォームスポンサーは麦製品の製造・販売はくばく、菓子製造・販売のシャトレーゼ、ホテル・レジャー・旅行のセラヴィリゾート泉郷、山梨名産「あわびの煮貝」信玄食品。練習着スポンサーは予備校の甲斐ゼミナール、すしミュージアムにサッカーミュージアムにおもちゃ博物館に映画館にフットサルコートにちびまる子ちゃんランドまである静岡市清水区のアミューズメント施設エスパルスドリームプラザ、信玄食品、山梨県観光物産連盟山梨県農畜産物販売強化対策協議会。オフィシャルスポンサーは甲府の不動産会社ダイタ、甲府の放送&インターネット会社日本ネットワークサービス、甲府市の井上内科小児科医院に笛吹市の長坂整形外科医院、山梨県のスーパーマーケットいちやまマート、笛吹市内石和温泉の旅館薬石の湯瑰泉。長坂整形外科医院は担架にも広告を入れていて、負傷者が出たときには広告効果絶大っつーかなんつーか。
甲府信用金庫は応援定期預金協力スポンサーとして、リーグ戦勝点15ごとに金利0.005%UP&J2昇格なら金利0.1%の1年定期「がんばれ!ヴァンフォーレ甲府定期預金」を実施。さらにスタジアムでの広告スポンサーとして砂場保護シートスポンサー3社、ピッチ看板スポンサー61、フェンス横断幕スポンサー52で、スポンサー総数は131。
砂場保護シートってのはホームスタジアムが陸上競技場であるために発生する媒体で、広告面積が大きいためか公式サイトにもけっこう上のほうに表示されている。そのうちのひとつほうとう屋敷みさか路(山梨名物の麺料理ほうとうの食堂)のサイトは、ヴァンフォーレへの応援の意欲が表れたページなどなかなか面白い。かつては筆頭スポンサーでもあった山日YBSグループはピッチ看板スポンサーへと後退、かつて個人スポンサードしていた引田天功も離れたが、これだけの地元&エスパルスのバックアップがあれば大丈夫っしょ。01年から4年連続で単年度黒字も実現していて、かつての経営難がウソのよう。
チーム成績もJ2スタートの99〜01年の3年連続最下位から03年には5位まで上昇、J1経験はまだないが徐々に力をつけている。
 

サガン鳥栖 Sagan Tosu

母体チーム:PJMフューチャーズ メイン出資:特になし井川幸広

この母体もアビスパ同様、当初は静岡県(浜松市)にあった。87年創設、93年にJFLに昇格。95年にはJリーグ入りをめざして本拠地を佐賀県鳥栖市に移し鳥栖フューチャーズとなるが、96年に親会社のPJMジャパン(出版などを行う企業でスケートの堀井学選手が所属)が経営難になりチーム運営から降りる一時はプロ化断念、チーム解散の危機に立ったが、地元の協力により存続が実現し、そのままJFLで活動を続ける。
運営会社の(株)サガン鳥栖は98年、鳥栖市、地元企業(といっても個人商店や中小レベル)、そして個人の出資により新たに設立。しかし(株)サガン鳥栖も、選手年俸総額が1億を割る、02年の監督だった副島氏が「資金不足のため選手の補強が難しく監督として思うような仕事ができなかった」ことなどを理由にわずか一年で監督を退くなどチーム運営が非常に困難になり、05年2月にデザイナーや編集者などクリエイターの人材派遣を行うクリーク・アンド・リバー社に営業譲渡。新会社(株)サガンドリームスでのチーム運営となる。
(株)サガンドリームスの資本金は1億6,150万円と、さすがにちょっと少なめ。と思ったら05年4月に1億7,300万円に増資してたわ。公式サイトの金額さっさと直せよ。で、筆頭株主はクリーク・アンド・リバー社かと思ったら、その社長で佐賀県生まれの井川幸広氏個人。公式サイトに主な株主として書かれている名前も個人10名と企業7社に1団体。その10名のうち、沢田秀雄氏(旅行会社のH.I.S.の社長)、田中最代治氏(クレジット会社のオリコの元副社長)、班目力曠氏(電子部品製造・販売のネミックラムダの創業者で僧侶、カリスマ経営者として講演多数)に井川社長を加えた4人がクリーク・アンド・リバー社の現役員で、張玉雄氏もクリーク・アンド・リバー台湾の代表である張立群氏が属している財閥「光元グループ」の代表。ほか、元エイベックスの社長兼会長だった依田巽氏も株主。
メインスポンサー=スタジアムスポンサーはアサヒビール、福岡に本社のある洗顔料などの通販会社ヴァーナル、いかしゅうまいなどの食品を製造・販売する佐賀県唐津市の海中魚処萬坊(有限会社!)、依田氏が筆頭株主になっている音楽・映像制作会社ドリーミュージックなど11社。ピッチスポンサー(って?ああ、グラウンドに置くボードに名前が入るってことか)が28、ポスタースポンサー(ポスターにしか名前入らないんだ…)が4、法人チケットスポンサー(チケットもらえるだけ?広告もできないの?)が30、試合時に観客にボールや米をプレゼントするイベントスポンサー(それってスポンサーっていえるのか?)が3。スポンサー総数は72。その多くは、全国的にはほぼ無名の企業。05年8月に沢田秀雄氏が社長(つまりやっぱり身内)のエイチ・エス証券がユニフォームスポンサーになったけど…パンツかよ! 胸でも背中でもあまつさえ肩でもないのかよ!
出資企業とスポンサーの重複は3社、他に個人株主が経営に関係あるスポンサーはクリーク・アンド・リバー社、セールスプロモーション企画とプレミアム商品制作のレッグス、ドリーミュージックの3社。つーか、ユニフォームスポンサーいないのかここ!
だいたいこのクリーク・アンド・リバーも俺、あんまり信用してないのだわ。実は俺もここに人材派遣登録してるけど、登録して約10年経つけど仕事を紹介されたこと一度もないし。他の派遣会社は登録して数日のうちに紹介があったり、ない会社は「今はコピーライターの仕事がほとんどない」と断り入れたりしてきてるのにそれさえない。この会社が出版してる「Director's Magazine」って雑誌が頼みもしないのに毎月送られてくるけど、中身つまんねーし。ついでに一度、記事の間違いをメールで指摘したら「次号で訂正記事出します」って返信あったけど実際には訂正記事なかったし。
00年のJ2での6位が最高順位で、03年にはリーグ戦年間44試合のうちわずか3勝という惨澹たる成績を残す。まともにチーム強化されるにはまだ時間がかかりそう。
 
 

00年J2参加 1チーム
 

水戸ホーリーホック Mito Hollyhock

母体チーム:なし メイン出資:特になし水戸ホーリーホック支援持株会

ここはすごい。運営会社(株)フットボールクラブ水戸ホーリーホックは97年、数名の個人の出資により設立。つまり個人の道楽に近いってことだ。
90年に結成されたプリマアセノフットボールクラブが母体といえば母体。翌年にアセノFCと分離しプリマハム土浦に。 96年には全国地域リーグ決勝大会で2位となりJFL昇格を決めたが、同時に不況の影響で廃部も決まる。しかし97年には、94年からJリーグ入りをめざしていた別チームのFC水戸に吸収される形でチーム存続が決定。本拠地を茨城県土浦市から同県水戸市に移し、株式会社化もされるが、ここでプリマハム資本は完全に遮断される。
97年はJFL最下位、98年も16チーム中14位と惨澹たる成績だったが、大型補強した99年は、前年にJ2に加入したチームが抜けわずか9チームとなったJFLで3位。同年のJFL優勝チームは翌年も優勝しないと昇格できない横浜FC(横浜FCの項目を参照)、準優勝がJリーグに入る意志のない本田技研だったため、ラッキーなJ2昇格となった。しかし経営難により01年には社長が辞任するなどチーム存続の危機も経験する。
資本金は5,125万円で、その7割近くは03年に発足した市民持株会が出資する。05年にはさらに追加発行される新株を取得し、出資比率は8割に達する予定。
メインスポンサー=ユニフォームスポンサーはケーズデンキ(家電量販店)と韓国のドラマ・映画の配給や俳優のマネジメントをしていてペ・ヨンジュンも大株主のインタラクティブメディアミックス、オフィシャルスポンサーが人材派遣とアウトソーシングのシーエムシー、さらにサポーティングカンパニーが31で、スポンサー総数は34。
03年J2での7位が最高で、今のところ昇格争いするような体制は整っていない。
 
 

01年J2参加 1チーム
 

横浜FC Yokohama F.C. 

母体チーム:横浜フリューゲルス メイン出資:クラブメンバーフィートエンターテイメント

前身のJリーグチーム横浜フリューゲルスは、JSL1部で最高2位の成績を残した全日空チームにゼネコンの佐藤工業が参加して誕生。それぞれの頭文字をとってASフリューゲルスとも称していた。全日空はチームマスコットに“とび丸”と愛称をつけ、「とび丸航空券」なる割引航空券を発売し、マスコットまでその広告に使用していた。
その後98年10月、建設業界の不況により経営が悪化した佐藤工業が資本引き上げを決め、存続が困難になったため横浜マリノスとのチーム合併を一方的に発表。全日空も資本移行を決定。フリューゲルスは96リーグ最高3位(97前期2位)、93・98天皇杯優勝という成績を残して消滅する。
この事態にサポーター有志は、完全市民チームでの存続を実行。選手はもちろんチーム運営などの経験もない辻野臣保氏が中心となり「横浜フリューゲルスを存続させる会」を結成。99年1月には運営会社(株)横浜フリエスポーツクラブを設立する。だが、フリューゲルスの名称使用は認められず、現在のチーム名に。
選手はフリューゲルス時代の選手を中心に、初代チーム監督には元ドイツ代表選手のリトバルスキー氏、ゼネラルマネージャーにはドイツプロリーグで選手として活躍した奥寺康彦氏を迎える(奥寺氏はその後チームの代表取締役に)。個人から会費を集め運営資金とする代わりに運営に関する発言権も個人ごとに与える、「ソシオ制度」によりチーム運営を開始。理事会とのゴタゴタにより02年からは、発言権が縮小に向かうなどソシオ制度から後退した「クラブメンバー」の形になる。
通常は都道府県リーグ、地域リーグ、ノンプロ最上位リーグのJFLと段階を踏まなければJリーグに参加できないが、特例として再結成と同時にJFLに参加し、2年連続優勝なら翌年J2に加入できるという条件を認められた。このテーマを見事クリアし、01年よりJ2。
05年6月には、サッカースクール展開を策して同年4月に創業したフィートエンターテイメントに対し2,995株の新株を発行。これにより同社が50%の株を持つ筆頭株主となる。資本金は設立当初の1,020万円から2億2,864万円へ。それまで1出資者につき出資額を45万円までに制限し特定企業の意向に左右されないチーム運営をしていただけに、ちょっと残念。05年7月に三浦知良を獲得、既にいた城彰二とフランスW杯代表2トップを再現できたのは、この新たな資金源のおかげだろうか。
主なスポンサー=オフィシャルクラブパートナー(ユニフォームスポンサー)は人材サービスの日総工産、『ふくしまの米』JA全農福島、04年にはヴェルディのユニフォーム胸スポンサーだった社員食堂や病院などへの食事を提供するレオックジャパン医療法人社団明日佳。クラブパートナーとして藤原紀香が個人スポンサード。オフィシャルクラブスポンサーが13、公式サイトに「その他ご協賛企業」として4社、通常のスポンサーの概念に当てはまるのは以上22。出資者との重複はゼロだが、大株主のフィートエンターテイメントはレオックジャパンの社長が設立した会社。
02年にはJ2最下位、04年の8位が過去最高位でまだJ1経験はなし。
 
 

05年J2参加 2チーム
 

ザスパ草津 Thespa Kusatsu

母体チーム:リエゾン草津 メイン出資:特になし

95年に設立されたサッカー専門学校「東日本サッカーアカデミー」のチームとしてリエゾン草津が誕生。98年には群馬県リーグ1部へ昇格するが99年には再び2部へ降格、さらに経営難のため東日本サッカーアカデミーが閉鎖、選手数も一時は4人にまで減少する。地元サッカーチームの選手や以前リエゾン草津にいた選手に試合のときだけ来てもらったり、必死でチームの体を保った。
1部へ再昇格した02年には元アントラーズ(当時サンフレッチェ所属)の奥野僚右を選手兼監督として、元ベルマーレ(当時アビスパ所属)で日本代表も経験した小島伸幸を選手兼キーパーコーチとして招き入れるなど、本格的な補強を開始。チーム名もザスパ草津に変更する。03年には関東リーグ2部に上がり運営会社(株)草津温泉フットボールクラブも設立。さらに“Jリーグ入りを標榜するクラブに対する優遇措置”によりJFLへの昇格チームを決める全国地域リーグ決勝大会に出場、これに優勝してJFL昇格を決める。04年にはJリーグへ加入申請、JFLで2位と同勝点の3位ながらJリーグ昇格が決定し05年よりJ2。Jリーグ入りをめざしてからわずか3年で目標を達成した。「市」でなく「町」をホームタウンとしたのは、アントラーズに次いで2チームめ。
出資者は草津町草津温泉旅館協同組合草津温泉観光協会草津町商工会と草津の強力なバックアップがあるうえ、地元デベロッパーのいせやコーポレーションエフエム群馬、群馬県内の畜産業者で「和豚もちぶた」を主力商品とするグローバルピッグファームなど30以上の草津町内&群馬県内の企業と団体、さらに個人も10名。資本金は1億0,600万円
主なスポンサー=オフィシャルユニホームパートナーはショッピングセンターチェーンのベイシア、主に群馬県内で本屋以外にもCD&DVDレンタル・ブランド品&宝飾品販売・カラオケ店運営まで行う文真堂書店、眼鏡・宝石&貴金属・携帯電話のチェーン店を群馬県を中心に展開する板垣、グローバルピッグファーム。オフィシャルメインパートナーが12社、オフィシャルパートナーが49、出版・放送・通信業のオフィシャルメディアパートナーが9社、スポンサー総数は69。上位スポンサーは地元企業だが、オフィシャルメインパートナー&オフィシャルパートナーにはセガユナイテッド航空サントリーなど説明不要な全国規模の企業も多い。またユニフォーム提供はスポーツ用品メーカーでなくユニクロから受ける。
出資者とスポンサーの重複は確認できたもので12社。それ以外にもいせやコーポレーション、ベイシア、それにオフィシャルパートナーのコンビニチェーンセーブオンは、同じ企業グループに属する。
02年当時に話題になった選手の地元企業勤務は、現在もチャレンジャーチーム(サテライトをザスパではこう呼ぶ)全選手とトップチームの一部選手によって現在も続けられ、草津町のホテル・旅館、スーパーマーケット、幼稚園で働いている。04年のチーム
収入は2億2,000万円。05年は約3倍の6億5,000万円を見込んでいるそーな。
 

徳島ヴォルティス Tokushima Vortis

母体チーム&メイン出資:大塚製薬

55年に大塚製薬サッカー部として創設、88年頃から本格的な強化が始まり90年にはJSL2部に昇格、92年からJFL。やがて徳島県内でJリーグチーム誘致活動が活発になり、94年にJリーグ参入の準備を始めるがスポンサーが集まらず、同年9月Jリーグ準会員申請を断念。それでも翌95年にはチーム名を「ヴォルティス徳島」と変更しJリーグ参加をめざすが、99年には再び名称を大塚製薬サッカー部に戻しJリーグ入りから遠ざかる。しかしJFL初優勝した03年から再びJリーグ参入の準備を開始、04年には2位に勝点差16の大差をつけてJFL優勝し05年よりJ2。
04年9月に設立された運営会社徳島ヴォルティス(株)には大塚製薬の他に四国電力、パチンコチェーンや外食チェーンにスポーツ用品店「ALEX」などを経営するシンクスなどの60団体に、徳島県鳴門市徳島市などホームタウンの自治体1県3市4町。資本金は4億0,900万円、Jリーグ1年めにして資金力のあるところを見せる。
主なスポンサー=ユニフォームスポンサーは大塚製薬アース製薬。アドボードスポンサーはミネラルウォーター「CRYSTAL GEYSER」や炭酸飲料「MATCH」の大塚ベバレジ、チオビタドリンクの大鵬薬品工業、大塚製薬、ボンカレーの大塚食品など49。スポンサー総数は50で、ここに挙げたスポンサー名は実はすべて大塚製薬のグループ企業。出資者とスポンサーの重複は18で、この規模にしては多い。
 
 

さて、分析は次へ→→→→→

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