コピーライターへの理想的な入口

 
 

1.とりあえず大学は出ましょう。


電通や博報堂など大手の広告代理店は、コピーライターの採用条件に「4年制大学卒業以上」を必ず挙げています。中途採用でも同じです。そのせいで某有名大学文学部中退の私は、ほとんどの中途採用試験で、書類審査でハネられます(中途採用に学歴なんて必要ないと思うけどねぇ…)。

バカらしいとは思いますが、業界への入口を自分から狭めてしまう必要はないので、適当な大学に入って適当に4〜8年過ごしてください。新卒採用では大学の知名度も関係ありそうなので、現役で無名大学に入るよりは浪人して有名大学をめざしてください(外資系代理店やプロダクションでは、この限りではありません)。
なお、大学時代に何をしていたか、何を学んだかは、ほぼどうでもいいことのようです。学部も関係ありません。東大医学部を出てコピーライターになった人もいます。東工大卒のコピーライターだっています。だいたい大学でコピーの書き方教えてくれるとこなんてありませんし。文系学部のほうが若干有利なくらいです。

・・・あ、そうだ。大学には広告研究会みたいなサークルもありますが、入らないほうがいいです。どうも代理店からは、そういうところに所属していた学生は、逆に敬遠されるようです。
実は私もキライです。そういうサークルが集まって学生広告展とか開いたり、学生対象のラジオCMコンクールとかもありまして、私も見たり聞いたりしてるんですが。面白いとか以前に、広告になってないのが大部分なんですもん。やっぱり広告を“仕事”として考えたことがあるかどうかの違いが大きいようです。
それでは以下、大卒を前提にして話を進めます。
 
 

2.東京近郊に住みましょう。


もちろん広告代理店も制作プロダクションも、日本全国にあります。広告主となる企業だってどこにでもあります。
しかし。それでもやはり、東京で働くことを薦めます。

日本全国を市場にする企業=ナショナルブランドは、本社を東京に置いている率が高くなっています。中には、本社は地方にあるのに宣伝部は東京、というケースさえあります。私も、本社が浜松にある企業の新製品のネーミングを、東京の代理店から依頼されたことがありました。高松にある通販で有名な企業のカタログも、東京の会社が作っています。
仕事が多い地域に行けば、就職口も多いのは自明です。まずは東京、次いで松下電器などのある大阪、その次は福岡です。福岡の広告活動は、地元の百貨店が先導する形で、近年活発になっています。

他の大都市圏は薦められません。名古屋のとあるプロダクションに聞いてみたことがありますが、やはり広告主の数が少なく仕事もそうないとのことでした。全国区の東京、そのオルタナティブである大阪、九州全域を引っ張る福岡、この3つのうちどこかに住みましょう。
 
 

3.養成講座に通ってみましょう。


先ほど、コピーの書き方を教えてくれる大学はない、と述べました。それではどこで学べばいいのでしょうか。最も効率がよいのはコピーライターの養成講座です。

有名なところでは宣伝会議という会社のコピーライター養成講座広告批評という雑誌が主催する広告学校の2つがあります。講義は週1回か2回、夕方くらいから行われるので、学生はもちろん社会人でも通うことは可能です。
私は高校の頃から本などで、自分でコピーの勉強をしていたので通いませんでした。ある程度の授業料はかかりますし。
ただ、通常は受講したほうがいいでしょう。体系的に広告の勉強をすることは、やはり独学では難しいですから。講座に行けば、同じ目的を持った受講生と切磋琢磨する環境が用意されているわけですから。それに、一流のプロの広告制作者に数多く会って、直に話を聞けます。これは間違いなく大きなメリットです。うまくいけば、そうした制作者から就職先を紹介してもらうことさえできます。

ただし、ひとつヤなことがあります。実在する商品の広告を作るなんて課題が出されることがありますが、これは時々、出題者の制作者自身が仕事として抱えているものだったりします。受講生から提出された作品をそのまま、自分が作ったものとして制作者が実際の広告に使ってしまうことがあるのです。もちろんコピー料なぞ支払われません。せいぜい「使わせてもらったよ、ありがとう」と声をかけられるくらいです。ひどい時にはそれでを獲ったりします。受講生でなく、制作者の名前で。これは本当に聞いたことのある話です。
また、女性は特に気をつけましょう。講師がナンパしてきたりしますから(笑)。これもホントです。その有名コピーライターの名前も知ってます。イニシャルはUといいます♪
 
 

4.まず電博、次に

  有名プロダクションをめざしましょう。


大きな仕事、面白い仕事は、電通博報堂に集中しています。この2社に入ることをまずめざしてください。これ以外の代理店は、どこも似たりよったりです。売上3位のアサツーディ・ケイでも、それほど目立つ仕事があるとは思えません。下手に他の代理店に入るよりは、電通や博報堂からの受注が多い制作プロダクションめざしたほうがいいかもしれません。
大学中退の私には、電博に入社することはほぼ100%ムリです。せっかく大卒というパスポートを持っているんですから、電博をしっかりめざしてください。

もしどうしても入れないなら、どこかの代理店やプロダクションなど、適当な就職先を見つけてください。東京以外の地域では、電通はやはりトップですが、それ以外の地元有力代理店が2位の座に着いていることがあります。また最近は、外資系代理店が日本で活動の幅を広げています。どんなところに入るのがいいか、あなたの目で見極めてください。プロダクションだと採用枠が少ないってこともありますし。
とりあえずどこかでコピーライターの仕事を続けていれば、電博に中途採用入る道も残っていますしね♪
 
 

5.コネは使いまくりましょう。

  なければ作りましょう。


あなたが広告出稿量の多い大会社の社長の子供なら、これまで述べてきたことは一切忘れてかまいません。ただ履歴書を送るだけで、いろんな広告代理店から引く手あまたのはずです。親の会社から広告を発注させる人質として、あなたは貴重な人材です。おめでとう♪
広告代理店に就職するためのコネとして物を言うのは、1に大きな会社の社長や宣伝部長とのつながり、2に有力政治家とのつながり、3に広告代理店内の有力者とのつながりです。遠い親戚などに当てはまる人がいないか、血眼になって探してみましょう。

「コネを利用するのはイヤ」? 「俺は実力で勝負する」? じゃあその“実力”ってなんですか? まだプロとして仕事をしたこともないあなたが、どうやって実力を見せられるんですか? 
学生が作った架空の広告なんて、項目1で決めつけたとおりチャンチャラおかしい遊びでしかありません。それに加えて、実力を判断する側に見る目がなければそれまでです。

私もそんなキレイごとを言っていたひとりです。だから今、とっても苦労しています。どんな手を使っても、要は自分があとからがんばればいいんです。
代理店やプロダクションでのバイトの口があれば、ぜひ申し込みましょう。仕事内容は単なる原稿の受け渡しや電話番くらいでしょうが、顔を覚えてもらうことはできます。広告関係のイベントがあれば必ず行きましょう。一流コピーライターと話す機会さえあります。

スタートラインに立たなければ、レースに参加することさえできません。どんな手を使っても、何とかして出場選手枠に入りましょう。どうせその後は、自分の力が足りなければ脱落することになるんですし。あはは。
 
 

・・・え? 効果的な応募書類の書き方? 面接でのアピールのしかた? 知りません。私は新卒採用の試験なんて受けたことないし。そんなもん中谷彰広の本でも読んでください。
ただ、ひとつだけアドバイスがあるとすれば。広告の知識を中途半端にひからかさないように。項目2でも挙げたように、プロの目から見れば、素人のあなたの言うことなんてほとんど戯言です。
たぶん判断基準は一般企業と同じように、大学の成績とかサークル活動の内容とか、そんなことだろうと思います。それに、広告が好きだという熱意を見せることでしょう。やっぱり、「広告が好きだ!」って人と仕事したいですからね、採用するほうも♪
 
 


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